「求人を出してもまったく応募がない」ここ数年、そんな声が一層増えてきました。
2025年に入り、正社員の人手不足感は過去5年間で最も高まっています。
特に中小企業にとっては給与や待遇で大企業に勝つのが難しい中、どう人材を確保するかが生き残りの分岐点になります。
確かに「人がいない」ことは事実ですが、それ以上に「選ばれていない」ことに気づく必要があります。
今年の春闘では大手企業で大幅な賃上げが予想されています。
中小企業にとってこれは大きな脅威です。
ただし、給与だけを軸にして勝負するのは得策ではありません。
実際、転職市場では「どんな人と働くか」「成長できるか」「自分の存在意義を感じられるか」といった非金銭的な要素を重視する若手が増えています。
だからこそ、中小企業の強みである「経営者の想い」や「人との距離の近さ」を武器にすべきなのです。
採用の場面で改めて重要になるのが、「なぜこの会社をやっているのか」という経営者の言葉です。
理念や価値観を明文化し、それを面接や求人票で語れる企業は、たとえ小規模でも「ここで働きたい」と思わせる力を持ちます。
一方で、求人票に事業内容と勤務時間しか書かれていない会社は、情報不足で選ばれない時代になっています。
2025年現在、テレワークやフレックス制度は一部の大企業に限らず、地方の中小企業にも浸透し始めています。
特に子育て世代やシニア人材にとって、時間や場所の柔軟性は魅力です。
難しく考える必要はありません。
「週1は在宅OK」「朝は10時からでも大丈夫」といった小さな工夫が、大きな差を生みます。
多様な人材が活躍できる環境は、今後の中小企業にとって採用力の根幹となります。
人手不足の今、「募集を出す=採れる時代」は終わりました。
採用こそが中小企業経営における最大の経営戦略です。
理念を言葉にし、職場の雰囲気を丁寧に伝え、柔軟な働き方を用意する採用難の時代だからこそ、知恵と工夫で“選ばれる会社”になっていきましょう。